古着辞典
ドン・キホーテ、アピタ、ピアゴなど全国103か所で古着イベント開催中近くを見る ›
新着商品イベント悩み調べる店ブランド年代型番タグカテゴリ

はじめての古着 › 古着屋の服は洗ってから並ぶのか

古着屋の服は洗ってから並ぶのか|卸倉庫の仕分け・洗濯工程を公開

「この服、洗ってありますか」。古着屋で聞きたくても聞けなかった人は多いはずだ。答えを先に書くと、店によって違う。ただし少なくともこの倉庫では、仕入れた一着ずつを自社で洗濯し、仕分けして値段をつけてから店頭に出している。この記事では、海外で回収された衣類がどんな道をたどって店のラックに掛かるのか、その途中で何が行われ、何が落ちて何が残るのかを、扱う側の視点で説明する。

[画像挿入: ①トップ画像(推奨サイズ:1200×675px・横長)
内容:倉庫内で作業台に広げられた衣類と、それを1着ずつ確認している手元。奥に整理された在庫棚。人物の顔は入れない。実際の自社倉庫での撮影を推奨。清潔感と作業の丁寧さが伝わる明るい照明で]

先に結論

「洗ってあるか」に一律の答えは無い

この質問に対して「古着はすべて洗ってあります」と答えるサイトがあったら、それは正確ではない。古着を扱う事業者は、個人が営む小さな店から、倉庫を持つ卸業者まで幅が広い。どこまで手をかけるかは、規模も方針も違うのだから当然ばらつく。

だから読者が知るべきなのは「古着一般はどうか」ではなく、「自分が買おうとしている店はどうか」だ。そしてそれは、聞けば分かる。

聞き方は難しく考えなくていい。「これって洗ってありますか」で十分だ。この質問は失礼でもクレームでもなく、扱いに自信がある店ほど、どこまでやっているかをはっきり答えてくれる。答えを濁されたときの感触は、その店を選ぶかどうかの材料になる。

海外で回収された服が店に並ぶまで

ここからは、この倉庫を例に実際の流れを追っていく。国内で回収されたものもあるが、量として多いのは海外から届くルートだ。

1. 現地で回収され、選別される

海外で不要になった衣類は、現地の回収業者に集められる。そこで用途別にざっと分けられ、まだ服として着られるものが古着として流通に乗る。この段階ではまだ、私たちの手には届いていない。

2. ベールに圧縮され、海を渡る

選別された衣類は、ベールと呼ばれる大きな塊に圧縮梱包される。輸送効率を上げるため、かなりの圧力をかけて固められた状態だ。この塊がコンテナに積まれ、船で日本へ運ばれてくる。

ここで重要なのは、輸送に時間がかかるという点だ。圧縮されたまま、湿度も温度も変化する船倉で長い時間を過ごす。倉庫に届いた時点の衣類は、強い折りジワと、こもった空気の匂いをまとっている。

3. 開梱と一次選別

届いたベールを開けるところから、私たちの作業が始まる。まず商品になるものとならないものを大きく分ける。広範囲のシミ、大きな破れ、極端な変色や型崩れがあるものは、この時点で商品から外れる。

ここで落ちる量は、想像されるより多い。店頭に並んでいる古着は、いくつもの選別を通過した一部だと考えてほしい。

この倉庫の場合、ベールは50kgのものと500kgのものがある。届く量は季節によって動くが、月におよそ100トンが入ってくる。

そして一次選別で外れるのが、およそ1割になる。単純に計算すれば、月に10トン近くが商品にならずに落ちていることになる。この段階を通過して、ようやく次の工程へ進む。

この工程を持てる店と持てない店がある

ここまで読んで、なぜ店によって差が出るのかが見えてきたと思う。洗濯の工程を持つには、業務用の設備と、乾かすための場所と、それを回す人手が要る。小さな店舗が単独で用意できるものではない。

だから多くの個人店は、洗濯の工程を持つ卸業者から仕入れるという形をとる。この場合、店自体が洗っていなくても、その手前で工程を通っていることになる。「うちでは洗っていないが、仕入れ先で洗われている」という答えが返ってきたら、それは正確な説明だ。

逆に、どこから仕入れているのか説明できない店は、工程そのものを把握していない可能性がある。聞くべきは「この店で洗いましたか」ではなく「どういう経路で入ってきた服ですか」のほうかもしれない。

4. 検品

残ったものを1着ずつ広げ、状態を見ていく。襟、脇、袖口、裾、ボタン、ファスナー、裏地。ここで見つかった汚れや傷は、程度に応じて振り分けられる。そのまま商品にするもの、値段を下げて出すもの、商品にしないもの。

この工程が、古着屋の値付けの土台になる。同じブランドの同じアイテムでも値段が違うのは、ここでの判断が反映されているからだ。

5. 洗濯

商品にすると決まったものを洗う。素材とアイテムによって扱いを変える必要があり、デニムとニットとダウンを同じ条件で回すことはできない。

この倉庫では、素材と色で分けてから洗っている。色を分けるのは、色移りを防ぐためだ。前の持ち主の使用歴が分からない以上、濃い色と淡い色を一緒に回すことはできない。

そしてこの工程には、クリーニング店で10年の経験を持つスタッフを専属で置いている。古着を商品にするうえで、洗濯が最も重要な工程だと考えているからだ。

素材ごとに水温も洗剤も変える必要があり、判断を誤れば縮む、色が抜ける、風合いが変わる。1着ずつ状態が違う古着では、この判断の精度が仕上がりを分ける。機械だけでは代われない部分になる。

6. 仕分けと値付け

洗い上がったものを、アイテム別、サイズ別、状態別に分けていく。ブランドや年代の判別が必要なものは、タグを確認して分類する。そのうえで値段をつけ、店舗やイベントへ送り出す。

[画像挿入: ②工程フロー図(推奨サイズ:1200×500px・横長)
内容:「現地回収 → ベール圧縮・輸送 → 開梱・一次選別 → 検品 → 洗濯 → 仕分け・値付け → 店頭」の7ステップを左から右へつなぐ横長フロー図。各ステップにアイコン(回収ボックス・圧縮された塊・カッター・虫めがね・洗濯機・ハンガーと値札・店舗)。イラスト調で統一。文字は日本語のみ]
[画像挿入: ③実写(推奨サイズ:1200×675px・横長)
内容:自社倉庫の実際の風景。ベールが積まれた様子、または開梱直後の作業台。可能であれば実写で。撮影が難しい場合はイラストでも可。「工程を見せる」という記事の主旨上、この1枚があると信頼性が大きく変わる]

なぜ洗う工程が必要なのか

「前の持ち主が洗ってから手放したのでは」と思うかもしれない。実際そのケースも多い。それでも洗う工程を挟むのには理由がある。

輸送でついた匂いと湿気を抜く

圧縮されたまま長期間輸送された衣類には、こもった空気の匂いがつく。これは前の持ち主の生活由来ではなく、輸送環境によるものだ。開梱直後の匂いの多くはこれにあたる。洗って乾かすことで、この大部分は抜ける。

圧縮によるジワを戻す

強い圧力で固められた衣類には、深い折りジワが刻まれている。このまま店頭に出しても、商品としての見え方が悪い。洗って乾かす工程は、生地の状態を整える意味も持っている。

埃と繊維くずを落とす

回収から輸送までの間に付着した埃や、他の衣類から移った繊維くずも落ちる。とくに濃色の服に白い繊維が付いていると目立つので、この工程は仕上がりに直結する。

衛生面の区切りをつける

水と洗剤で洗い、乾かすという工程は、衛生面でも区切りになる。前の持ち主がどう扱っていたかは分からない以上、一度リセットしておくという考え方だ。

[画像挿入: ④模式図(推奨サイズ:1000×600px・横長)
内容:「洗う工程が必要な4つの理由」を4象限で示した図。輸送由来の匂い/圧縮ジワ/埃と繊維くず/衛生面の区切り、をそれぞれアイコンと短い日本語キャプションで配置。イラスト調・落ち着いた配色]

洗濯で落ちるもの・落ちないもの

ここは正直に書きたい。洗えばすべてがきれいになるわけではない。落ちるものと落ちないものは、ある程度決まっている。

種類落ちやすさ補足
埃、繊維くずほぼ落ちる洗濯の基本的な守備範囲
輸送でついた匂いほぼ落ちる乾燥まで含めて効果が出る
表面に乗った汚れ落ちやすい時間が経つほど落ちにくくなる
皮脂由来の黄ばみ程度による浅ければ薄くなる。深いと残る
繊維内部まで進んだ変色残る色そのものが変わっている状態
生地の硬化戻らない触ってごわつく部分は元に戻りにくい
虫食い穴、破れ洗濯では直らない補修の領域になる

この表の下半分にあたるものは、洗っても消えない。だからこそ検品の工程で、商品にするかどうかを判断する必要がある。洗えば何とかなるという前提で全部を通してしまうと、洗い上がってから「やはり出せない」となって手間だけが増える。

逆に言えば、店頭で見かける「訳あり」「難あり」の表示は、この判断が働いている証拠でもある。状態を隠さずに開示して、その分だけ安く出すという扱い方だ。

それでも自分で一度洗ってほしい理由

工程を通していると書いておきながら矛盾するようだが、買ったあとにもう一度洗うことをおすすめしている。理由は3つある。

1. 店頭で多くの人が触れる

店に並んでからも、服は多くの人の手に触れる。試着されることもある。倉庫を出た時点の状態がそのまま保たれているわけではない。

2. 気持ちの区切りになる

これが実は大きい。自分の手で一度洗うと、その服が「自分のもの」になる感覚が生まれる。衛生面の実際とは別に、この心理的な区切りには意味がある。

3. 自分の洗剤の匂いに揃う

服ごとに違う匂いがついていると、クローゼットの中で混ざって違和感が出る。自宅で使っている洗剤で一度洗えば、手持ちの服と揃う。

洗い方は素材によって変わる。海外製の古着は洗濯表示が英語だけのことも多いので、英語の洗濯表示の見方を先に確認しておくと迷わない。TシャツについてはTシャツの洗濯、匂いが気になる場合は古着の匂いの取り方にまとめてある。

[画像挿入: ⑤模式図(推奨サイズ:1000×600px・横長)
内容:「倉庫での洗濯」と「自宅での洗濯」の役割の違いを2列で示す図。左=商品として整える(匂い・ジワ・埃)、右=自分のものにする(触れられた分のリセット・気持ちの区切り・洗剤を揃える)。矢印で時系列につなぐ]

洗う前にやっておくといいこと

自宅で洗う前に、ポケットの中を確認しておきたい。前の持ち主の持ち物が入ったままということが、実際にある。レシート、名刺、コイン、ときには小さな紙片。洗濯機に入れてから気づくと面倒なことになる。

あわせて、ボタンを留めてファスナーを閉めておく。開けたまま洗うと生地が引っ張られて型崩れの原因になる。プリントや刺繍のあるものは裏返して入れると、表面が擦れにくい。古着は新品より生地が弱っていることが多いので、この程度の配慮で寿命が変わってくる。

買う経路によって前提が変わる

同じ「古着」でも、どこで買うかによって通ってきた工程は違う。ここを理解しておくと、自分でやるべきことの量が判断できる。

経路工程の想定自分でやること
倉庫を持つ店・卸業者選別と検品、洗濯を通っていることが多い一度洗えば十分
個人経営の古着屋店の方針による。聞けば分かる状態を見て判断する
通販・オンライン実店舗と同じ工程のことが多い写真で状態を確認し、届いたら洗う
個人間の取引洗濯されていない可能性がある必ず自分で洗って乾かす

とくに個人間の取引は、出品者ごとに扱いがまったく違う。「クリーニング済み」と書かれていても基準は人それぞれだ。ここで買う場合は、届いたら必ず自分で洗うという前提で臨みたい。

通販で買う際の見方は古着の通販についてにまとめている。実物を手に取って確認したい場合は、全国の実店舗や街から探すから近い場所を探してほしい。

よくある質問

古着屋の服は全部洗ってあるの?

店によって違うため、一律には言えない。倉庫を持つ事業者は洗濯工程を持っていることが多いが、確実に知りたければ店に聞くのが早い。この倉庫では、仕入れた一着ずつを自社で洗濯・仕分けしてから店頭に出している。

クリーニングと洗濯は違うの?

溶剤を使うドライクリーニングと、水で洗う洗濯は方法が異なる。古着の量を処理する工程では水洗いが中心になり、水洗いに向かない素材は扱いを分ける。ドライ表示のあるアイテムを購入した場合は、自宅で無理に洗わずクリーニングに出すのが安全だ。

洗ってあるのに匂いが残っているのはなぜ?

繊維の奥に入り込んだ匂いは、一度の洗濯では抜けきらないことがある。また、乾燥が不十分なまま保管されると別の匂いが出ることもある。風を通してから、あらためて洗い直すと変わる場合が多い。

「訳あり」表示のものは避けたほうがいい?

そうとは限らない。状態を把握したうえで開示し、その分を値段に反映しているという意味なので、むしろ扱いが丁寧な証拠でもある。どこに難があるかを確認して、自分が許容できる範囲なら選んでいい。

洗濯で落ちなかった汚れは、家で落とせる?

工程で落ちなかったものが家庭で落ちる可能性は高くない。とくに繊維内部まで進んだ変色や、生地が硬くなっている部分は戻りにくい。買う前に、そこを許容できるかで判断してほしい。

店に工程を聞くのは失礼にならない?

まったく問題ない。扱いに自信のある店ほど具体的に答えてくれる。むしろ買う側として当然の確認だと考えていい。

[画像挿入: ⑥Q&A図(推奨サイズ:900×700px・縦長)
内容:よくある疑問6つをアイコン一覧にした図。「全部洗ってある?」「クリーニングとの違い」「匂いが残るのは?」「訳ありは避ける?」「家で落とせる?」「店に聞いていい?」の6項目を丸いアイコン+短い日本語テキストで並べる。淡い配色・イラスト調]

まとめ

古着が店に並ぶまでには、現地での回収、ベールへの圧縮と輸送、開梱、一次選別、検品、洗濯、仕分け、値付けという工程がある。この倉庫では、仕入れた一着ずつを自社で洗濯・仕分けしてから店頭に出している。

洗う工程には、輸送でついた匂いと湿気を抜く、圧縮ジワを戻す、埃と繊維くずを落とす、衛生面の区切りをつけるという4つの意味がある。ただし洗えばすべてが消えるわけではなく、繊維の内側まで進んだ変色や生地の硬化は残る。だからこそ検品で振り分ける必要がある。

そのうえで、買ったあとに一度自分で洗ってほしい。店頭で多くの人が触れているという実際の理由に加えて、自分の手で洗うことでその服が自分のものになるという区切りの意味もある。

そして、どこで買うかによって通ってきた工程は違う。個人間の取引で手に入れたものは、店頭の古着と同じ前提では考えないほうがいい。工程を知っていれば、自分がやるべきことの量も見えてくるはずだ。

[画像挿入: ⑦まとめ図(推奨サイズ:900×900px・正方形)
内容:記事の要点を1枚にまとめた図。上段に工程フローの簡略版(7ステップを小さく横並び)、中段「洗濯で落ちるもの・落ちないもの」を2列で、下段「経路別にやることが変わる」を4行のリストで。SNS共有を想定した正方形レイアウト。文字は日本語のみ]
※本記事は古着卸倉庫CLASS1における自社での洗濯・仕分け・値付けの実務と、古着流通に関する一般的な知識をもとに、独自の構成・文章でまとめたオリジナル記事です。他サイトの文章の引用・転載は行っていません。工程の内容は取り扱う商品や時期によって変わる場合があります。
もっと読む
はじめての古着 62本の一覧古着の悩み ぜんぶ古着辞典のトップ