古着大百科 > タグの見分け方

Hanesと並ぶ定番ボディブランドとして、古着市場で広く親しまれているFruit of the Loom(フルーツオブザルーム)。無地Tシャツやスウェットのボディとして数多くのプリントアイテムに使われてきたこのブランドは、タグに描かれた果実のイラストのタッチを見ることで、そのアイテムがおおよそどの年代に作られたのかを推測できることが知られている。この記事では、Fruit of the Loomのタグに現れる年代のサインを、古着初心者の方にもわかりやすいように整理して紹介していく。プリントTシャツの土台として脇役になりがちなブランドだが、タグひとつを取ってもこれだけの変遷があるということを知ると、見る目がぐっと変わるはずだ。主役であるプリントだけでなく、その土台を支えるボディにも目を向けてみると、古着選びの楽しみがさらに広がっていく。
Fruit of the Loomは1851年、アメリカのロードアイランド州でナイト兄弟によって設立された。ブランド名は、実を結ぶという意味の「フルーツ」と、織機を意味する「ルーム」を組み合わせたもので、繊維業で成果を上げたいという創業者たちの願いが込められているとされる。商標として果実のモチーフを登録したのは1871年のことで、この時に取得した商標番号は非常に若い番号として知られており、いかに早い段階から商標という概念に取り組んでいたブランドであるかがうかがえる。長い歴史の中で、主にアンダーウェアやプリント用の無地Tシャツを手がけるブランドとして成長を続け、今日では世界中のプリントアイテムの土台として定着している。派手な広告展開よりも、実直に良質な生地を作り続けるという姿勢が長年支持されてきた理由のひとつと言えるだろう。プリントを引き立てる名脇役として、数え切れないほどのイベントTシャツやバンドTシャツの裏側を支えてきたという功績も、このブランドを語るうえで欠かせない要素だ。目立たずとも確かな仕事を積み重ねてきたことこそが、長年にわたる信頼につながっている。
Fruit of the Loomの歴史の古さを象徴するエピソードとして知られているのが、商標登録番号の若さだ。アメリカで商標法が制定されたのは1870年のことで、Fruit of the Loomはその翌年にあたる1871年、非常に早い段階で商標登録を果たしている。この時に取得した番号は三桁台という若さで、いかにこのブランドが商標という概念の黎明期から存在していたかがうかがえる。後発の有名ブランドの商標番号と比較すると、その桁数の違いだけでも歴史の重みが伝わってくるだろう。単なる老舗ブランドという言葉だけでは片付けられない、アメリカのアパレル産業黎明期からの生き証人とも言える存在なのだ。

Fruit of the Loomのタグは、時代によって枠の有無がはっきりと変わっている。もっとも古い時代は青い枠で囲まれたデザインが使われていたが、その後の時代になるとこの枠が姿を消していった。あわせて、ブランド名の記載位置もタグの上部から下部へと移動している。まずはこの枠の有無を見極めることが、年代判別の出発点になる。枠があるかないかというシンプルな違いだからこそ、古着初心者でも迷わず判断できる、とっつきやすいチェックポイントと言えるだろう。
ブランド名を表す文字の色にも時代ごとの変化がある。もっとも古い時代は青色の文字が使われていたが、その後の時代になると黒色の文字へと切り替わっていった。この文字色の変化は、前述した青枠が姿を消すタイミングとほぼ重なっているため、あわせて確認することで精度が上がる。文字色という一見単純な違いだが、ふたつの要素を組み合わせることで判断の確からしさが格段に高まる。

タグの中央に描かれた果実のイラストのタッチも、年代を見分ける大きな手がかりになる。もっとも古い時代は写実的でやや輪郭がぼやけたタッチだったが、時代が進むにつれてよりくっきりとした写実表現へ、さらに時代が下るとポップでアニメ風のデフォルメされた表現へと変化していった。このイラストのタッチの違いを見比べることが、年代判別の核心とも言える着眼点だ。同じ果実のモチーフでありながら、時代によってこれほど印象が変わるというのは、なかなか興味深い変遷と言えるだろう。写実的な描写からポップなデフォルメへと移り変わっていく様子は、当時のグラフィックデザインの流行そのものを映し出しているとも言える。
タグに記載される生産国の表記も見逃せないポイントだ。ある時期まではアメリカ国内での生産が中心だったが、時代が進むにつれて複数の国へと生産拠点が広がっていった。生産国の表記がアメリカ以外の国へと変わっている場合は、それだけ新しい時代の製品である可能性が高いと判断する材料になる。この移行の背景には、国際的な貿易協定の発効による製造拠点の海外移転という時代の流れがあり、タグの表記からその時々の産業構造の変化を読み取ることもできる。

タグそのものの素材や形状にも時代ごとの違いが見られる。薄い紙のような素材で作られたタグが使われていた時期から、光沢のある化学繊維素材のタグへと変化していった。また、一枚のタグを輪の形にした通称「まわしタグ」と呼ばれる特徴的な形状が使われていた時期も存在する。こうした素材や形状の違いも、あわせて確認することでより詳しい年代の絞り込みができる。輪の形をしたまわしタグは、縫い付け方自体が他の時期とは異なるため、タグの取り付け方そのものにも注目してみると面白い発見があるかもしれない。

| 時期の目安 | タグの通称 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 1950年代 | 青枠タグ前期 | 青い枠にブランド名が上部配置。登録マークがまだ無い希少なタイプ |
| 1960年代 | 青枠タグ後期 | 登録マークが加わる。果実のイラストがよりくっきりとした写実表現に |
| 1970年代 | 黒文字タグ | 青枠が姿を消し、文字が黒色に変化。ブランド名がタグ下部に移動 |
| 1980年代 | ポップタグ | 果実のイラストがポップなデフォルメ表現に変化。紙タグが主流 |
| 1980年代〜1990年代前半 | まわしタグ | タグを輪の形にした特徴的な形状が採用される |
| 1990年代 | 現行系タグ前期 | 光沢のある化学繊維素材へ変化。デザインのバリエーションが増加 |
| 1990年代後半以降 | 2枚タグ | ロゴタグと品質表示タグの2枚重ね仕様が一般化していく |

実物を確認する際は、まずタグに青枠があるかどうかを見て大まかな時代帯を絞り込む。この最初のステップだけでもかなり時代を絞り込めるため、慣れないうちはここから確認を始めるとよい。次にブランド名の文字色が青か黒かを確認し、続いて果実イラストのタッチを見る。そのうえで生産国の表記を確認し、最後にタグの素材や形状を見て、これまでの情報と矛盾がないかを突き合わせるという順序で進めると判断がしやすい。

Fruit of the Loomは、1980年にプリントTシャツを中心とした派生ブランド「SCREEN STARS」を展開している。映画やバンドのプリントTシャツによく使われていたこのブランドは、Fruit of the Loomとは異なる独自のタグデザインを持っており、星のモチーフをあしらった意匠が特徴となっている。古着屋でムービー系やバンド系のプリントTシャツを見かけた際は、こちらのタグが付いている可能性もあるため、あわせて知っておくと年代判別の幅が広がる。SCREEN STARSのタグにもFruit of the Loom本体と同様、時代ごとの細かなデザイン変化が見られるため、両ブランドを見比べながら学んでいくと、ボディブランド全体への理解もより深まっていく。見比べる作業そのものが、意外な発見に満ちた楽しい時間になるはずだ。

オンラインで購入を検討する場合は、タグ全体の写真だけでなく、果実イラスト部分を接写した写真もあわせて依頼するのがおすすめだ。イラストのタッチの違いは写真の解像度が低いと判別しづらいことがあるため、できるだけ近接して撮影してもらうとよい。実店舗で確認する場合も、タグの素材が紙製か化学繊維製かまで確認する習慣をつけておくと、判断材料が格段に増える。あわせて、生地の厚みや縫製の丁寧さ、プリントのひび割れ具合といった全体の状態も見ておくと、タグの情報だけに頼らない総合的な判断ができるようになる。とくに紙タグの時代のものは経年で劣化しやすいため、状態の良い個体は現存数自体が少なく、見つけた際は貴重な一枚と言えるだろう。

A. 青枠タグのほうが先に使われており、その後の時代に青枠が外れて黒文字タグへと切り替わっている。
A. 大まかな目安にはなるが、それだけで断定するのは避けたほうがよい。タグの枠や文字色、生産国の表記とあわせて確認することでより精度が高まる。
A. 使用された期間が他の形状に比べて限られていたとされているためだ。輪の形をした独特の形状は、他の時期のタグには見られない特徴でもある。
A. 生産国の移行はおおまかな目安にはなるが、それだけで断定するのは避けたほうがよい。タグのデザインや素材とあわせて確認することが大切だ。
ヴィンテージ市場でFruit of the Loomのアイテムに価格差が生まれるのは、単に古いか新しいかという単純な話だけではない。使用期間が短かった希少なタグデザインや、当時の生地の質感、プリントとの組み合わせといった要素が組み合わさることで、コレクターの間での評価が変わってくる。プリントTシャツの土台として長年使われてきたブランドだからこそ、タグから読み取れる情報は単なる「年式」以上に、そのアイテムがどのような時代のカルチャーの中で作られたのかを知る手がかりでもある。プリントされた図柄が特定の映画やイベント、バンドの記念に作られたものだとすれば、タグの年代とプリントの内容を突き合わせることで、そのアイテムが本当にその時代に作られたものかどうかを検証する材料にもなる。

Fruit of the Loomのタグから年代を読み解くには、タグの枠の有無、ブランド名の文字色、果実イラストのタッチ、生産国の表記、タグの素材と形状という複数の要素を組み合わせて確認していくことが欠かせない。プリントアイテムの土台として脇役になりがちなブランドだからこそ、タグの変遷を知っているかどうかで、古着選びの視点がぐっと広がる。ひとつずつ着眼点を確認しながら、自分の手元にある一着の背景を紐解いていってほしい。主役であるグラフィックの魅力に隠れて見過ごされがちなタグにも、実はこれだけの物語が詰まっているという発見が、古着を選ぶ楽しみをより一層深いものにしてくれるはずだ。
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