古着大百科 > タグの見分け方

バンドTシャツやカレッジTシャツのボディとして、古着市場で幅広く見かけるJerzees(ジャージーズ)。プリント業者から長年支持されてきた実用的なボディブランドとして、手頃な価格ながら高い人気を誇っている。派手さはなくとも堅実な仕事ぶりが、多くの現場から選ばれ続けてきた理由だ。ヴィンテージ市場では、タグに記載された親会社の表記や背景デザインを読み解くことで、そのアイテムがおおよそどの年代に作られたのかを推測できることが知られている。この記事では、Jerzeesのタグに現れる年代のサインを、古着初心者の方にもわかりやすいように整理して紹介していく。プリントアイテムのボディという地味な立ち位置ながら、タグを知っているかどうかで古着屋での目利きが大きく変わってくるブランドだ。主役であるプリントの陰に隠れがちな存在だからこそ、その変遷を知る人が少ない分、知っておくだけで一歩リードできる知識とも言えるだろう。
Jerzeesは1983年、老舗スポーツウェアブランドRussell Athleticの傘下として誕生した。もともとRussell Athleticはカレッジやプロスポーツチーム向けのユニフォーム供給で知られる存在だったが、より日常的に着られるベーシックなスウェットやTシャツへの需要が高まったことを受け、プリント業者向けの無地ボディに特化したラインとしてJerzeesが立ち上げられた経緯を持つ。ラッセルが培ってきたアスレチックウェアの技術とノウハウを活かしながら、手頃な価格と着心地の良さを両立させたことで、スクリーンプリント業者から絶大な支持を集めることになる。バンドTシャツや企業のプロモーションTシャツのボディとして数多く採用されてきたのは、このコストパフォーマンスの高さゆえだと言えるだろう。手頃な価格でありながら実用に耐えうる品質を維持するという、Russell Athletic譲りのものづくりへのこだわりが、多くのプリント業者から選ばれ続ける理由になったと考えられる。派手な広告展開をするタイプのブランドではないが、縁の下の力持ちとして数え切れないほどのプリントアイテムを支えてきたという実績こそが、このブランドの真価を物語っている。
1992年頃、Jerzeesは毛玉ができにくいという特長を持つ新しい素材のラインを発表した。この新素材は、それまでのコットン主体の生地に比べて耐久性が高く、繰り返しの洗濯にも強いという実用面での利点が評価され、タグにもその素材名がはっきりと記載されるようになった。長く着続けられる製品づくりへのこだわりが、この一枚のタグからもうかがえる。プリント業者にとっては、洗濯後も見た目が長持ちする生地は大きな魅力であり、この新素材の導入がJerzeesのさらなるシェア拡大を後押ししたと考えられている。タグにこの素材名の記載がある個体を見つけたら、1990年代以降に製造されたものである可能性が高いと判断する材料になる。素材の進化という視点から年代を推測できるという点も、このブランドならではの面白さだ。

Jerzeesのタグには、親会社であるRussell社の名前が「BY RUSSELL」という形で大きく記載されていた時期がある。この表記はブランド設立当初から一定期間続いていたが、時代が進むにつれてタグから姿を消していった。まずはこの「BY RUSSELL」の表記があるかどうかを確認することが、年代判別の出発点になる。親会社の名前が誇らしげに大きく記されているという事実そのものが、まだブランドとして独立性を確立する前の時代を象徴しているとも言えるだろう。
ブランド名の横に添えられる商標マークにも変化が見られる。もっとも古い時代は商標登録の申請中を示す「TM」の表記が使われていたが、その後正式に登録が認められたことを示す「®」の表記へと切り替わっていった。他の多くのブランドと同様、この記号の変化は年代を見分けるための基本的な手がかりになる。小さな記号ひとつだが、拡大して確認すれば見分けは難しくない。慣れてくれば一瞬で判断できるようになる、覚えておいて損のないポイントだ。

タグの背景デザインも時代とともに大きく変化している。初期はシンプルな単色の背景だったが、ある時期になるとタグの背景全体が格子状の模様になり、その上に斜めに傾いたブランド名が配されるデザインへと変わっていった。この格子柄の有無は、比較的わかりやすい年代判別の目印になる。斜めに傾いたロゴの角度や、格子の細かさにも微妙なバリエーションが見られ、見比べる目を養うほどさらに細かな時期の絞り込みができるようになる。
タグそのものの構成にも時代ごとの違いがある。長年にわたって1枚のタグにすべての情報がまとめられていたが、ある時期になるとロゴタグと品質表示タグに分かれた、通称「2枚タグ」と呼ばれる仕様が主流になっていった。この2枚タグには、ひし形の中に「Z」の文字を配したロゴが使われることが多い。1枚タグの時代に比べて記載される情報量も増えており、素材配合や取り扱い方法がより詳細に記されるようになった点も、この時期のタグの特徴として覚えておくとよい。

タグに記載される生産国の表記も見逃せないポイントだ。長らくアメリカ国内での生産が中心だったが、時代が進むにつれてホンジュラスやエルサルバドルといったカリブ海周辺国での生産が広がっていった。生産国の表記を確認することで、比較的新しい時代のアイテムかどうかを判断する材料になる。この生産拠点の移行は、当時の国際的な貿易協定の発効を背景にしたものであり、他の多くのアメリカンブランドと同様の流れをたどっている。タグの生産国表記ひとつからも、当時のアパレル産業全体が置かれていた状況を読み取ることができる。

| 時期の目安 | タグの通称 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 1980年代初頭 | 初期タグ | 黒地に黄色い文字。「BY RUSSELL」「TM」表記が入る、希少なタイプ |
| 1980年代前半〜中頃 | グレー・白タグ | タグの地色がグレーから白へ変化。「BY RUSSELL」表記は継続 |
| 1980年代後半 | 格子柄タグ前期 | 背景が格子状のデザインに変化。「TM」から「®」表記に切り替わる |
| 1980年代後半〜1990年代前半 | 格子柄タグ後期 | 「BY RUSSELL」表記が姿を消す。ロゴが斜めに傾いたデザインへ |
| 1992年頃〜1990年代 | 新素材期 | 毛玉防止の新素材ラインが登場し、タグにもその表記が加わる |
| 1990年代後半以降 | 2枚タグ | ロゴタグと品質表示タグの2枚重ね仕様に。生産国が多様化していく |

実物を確認する際は、まず「BY RUSSELL」の表記があるかどうかを見て大まかな時代帯を絞り込む。次に商標マークが「TM」か「®」かを確認し、続いてタグの背景が格子柄かどうかを見る。そのうえでタグが1枚か2枚かを確認し、最後に生産国の表記を見て、これまでの情報と矛盾がないかを突き合わせるという順序で進めると判断がしやすい。

Jerzeesはスクリーンプリント業者に無地のボディとして卸されていたブランドであるため、タグに表れる製造年代と、実際にプリントが施された時期との間にずれが生じることがある。在庫として保管されていたボディに、後年になってプリントが施されるというケースも珍しくないため、タグの年代だけをもって、そのプリントが施された正確な時期だと断定するのは避けたほうがよい。プリント内容に具体的な年号が記載されている場合は、そちらもあわせて確認することで、より確からしい判断ができる。ツアーの開催年やイベント名が直接プリントされているケースもあれば、著作権表記の隅にごく小さく年号が添えられているだけの場合もあるため、細部まで見落とさず確認する習慣をつけておきたい。タグとプリントという二つの情報源を突き合わせることで、単独では見えてこなかったそのアイテムの正確な背景が浮かび上がってくることもある。

オンラインで購入を検討する場合は、タグの表面写真だけでなく、裏面まで写した写真もあわせて依頼するのがおすすめだ。品質表示や生産国の記載がタグの裏面にあることも多いため、両面を確認できると判断の精度が上がる。実店舗で確認する場合も、タグをめくって裏面までチェックする習慣をつけておくと、判断材料が格段に増える。あわせて、生地の厚みや縫製の丁寧さ、プリントの色あせ具合といった全体の状態も見ておくと、タグの情報だけに頼らない総合的な判断ができるようになる。無地のシンプルなボディだからこそ、こうした細部の質感の違いが、時代を見分けるための貴重な手がかりになる。

A. そうとは限らない。この表記が使われなくなった時代以降のものであれば、正規品であってもこの表記自体が存在しない。他の着眼点とあわせて確認するのが望ましい。
A. 格子柄タグのほうが先に使われており、その後の時代になると2枚タグへと切り替わっている。
A. 必ずしも一致しない。プリント業者に卸されていたボディという性質上、在庫期間のずれが生じることがあるため、プリント内容の年号などとあわせて総合的に判断するのが望ましい。
A. 生産国の移行はおおまかな目安にはなるが、それだけで断定するのは避けたほうがよい。タグのデザインや表記とあわせて確認することが大切だ。
ヴィンテージ市場でJerzeesのアイテムに価格差が生まれるのは、単に古いか新しいかという単純な話だけではない。使用期間が短かった希少なタグデザインや、当時の生地の質感、プリントとの組み合わせといった要素が組み合わさることで、コレクターの間での評価が変わってくる。プリント業者に長年愛用されてきたブランドだからこそ、タグから読み取れる情報は単なる「年式」以上に、そのアイテムがどのような時代のカルチャーの中で作られたのかを知る手がかりでもある。無数のバンドTシャツやイベントTシャツを陰で支えてきたという事実を知ると、無地のシンプルなボディにも一つひとつ違った物語が宿っているように感じられてくる。

Jerzeesのタグから年代を読み解くには、「BY RUSSELL」の表記、商標マークの種類、タグの背景デザイン、タグの枚数、生産国の表記という複数の要素を組み合わせて確認していくことが欠かせない。プリントアイテムのボディという実用的な立ち位置のブランドだからこそ、タグの変遷そのものにもアメリカのファッション史の一端が刻まれている。ひとつずつ着眼点を確認しながら、自分の手元にある一着の背景を紐解いていってほしい。地味な脇役だからこそ、その歴史に光を当てて眺めてみると、これまで見過ごしていた一着の魅力に新しく気づけるはずだ。
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