古着大百科 > タグの見分け方

Levi's、Wranglerと並ぶ三大デニムブランドのひとつとして知られるLee(リー)。中でも「101」という通称で親しまれる定番モデルは、時代が変わってもシルエットがほとんど変わらないことで知られており、その分タグの表記を読み解くことが年代判別の頼りになる。この記事では、Leeのタグに現れる年代のサインを、古着初心者の方にもわかりやすいように整理して紹介していく。デザインそのものはほぼ不変でも、タグひとつでこれだけ細かく時代を語れるというのは、なかなか奥深いポイントだ。シルエットに大きな違いが出ないぶん、タグの読み解き方を知っているかどうかで、店頭での楽しみ方が大きく変わってくるブランドでもある。
Leeは1889年、アメリカのカンザス州でヘンリー・デイビッド・リー氏が食品や雑貨の卸売会社として設立したことに始まる。1911年になると自社工場での衣類製造に乗り出し、1913年には世界初とされるオールインワンの作業着を世に送り出した。労働者からの信頼を着実に築いていったLeeは、1924年に頑丈なデニム生地を使ったカウボーイ向けのパンツを開発し、これが後に「Lee Riders」と名前を変え、現在は通称「101」として親しまれるモデルへとつながっていく。ボタンフライ仕様とジッパーフライ仕様の両方が展開され、後者は世界初のジッパーフライ・ジーンズとして知られている。当時としては斬新だったこの機能性の高さも、Leeが労働者やカウボーイから支持され続けた理由のひとつと言えるだろう。長い歴史の中で幾度もマイナーチェンジを重ねながら、基本となるシルエットを守り続けてきたことも、このモデルが今なお愛される理由になっている。今なお現行ラインで同じモデル名が使われ続けていることは、それだけ完成度の高いデザインだったことの証でもある。
Leeの101が長年支持されている理由のひとつに、他ブランドとは異なる織り方の生地を使っている点が挙げられる。糸の撚り方向と織り目の向きの組み合わせによって、生地の表面の質感や色落ちの表情が変わってくるのだが、Leeが採用してきた織り方は、使い込むほどに縦方向へすっきりとした色落ちが出やすいという特徴を持っている。同じシルエットのデニムでも、時代を経るごとに違った表情を見せてくれるのは、この生地の個性によるところが大きい。左綾デニムは、右綾のデニムに比べて生地表面がフラットになりやすく、色落ちの境目がくっきりと出やすいと言われている。この独特の質感は今もヴィンテージファンを惹きつけてやまない要素のひとつで、同じ「101」というモデル名を長年名乗り続けながらも、時代ごとの生地の表情を楽しめるという点は、他のデニムブランドにはない魅力と言えるだろう。生地選びひとつにも創業者のこだわりが反映されていたのかもしれない。

Leeのタグは、時代によって地色や文字色の組み合わせが変わってきた。もっとも古い時代は黒地に赤と黄色の文字を配したタイプが使われていたが、その後の時代になると黒地に黄色の文字を配したタイプへと切り替わっていった。まずはこの色の組み合わせがどちらに当てはまるかを見極めることが、年代判別の出発点になる。この色使いはブランドを象徴するデザインとしても知られており、覚えておいて損はない知識だ。
ブランド名「Lee」の書体にも変化が見られる。もっとも古い時代は小文字の「e」がやや斜めに傾いた書体だったが、ある時期を境に、傾きのないまっすぐな書体へと変わっていった。この書体の変化は、タグの色が変わるよりも前の段階で起きているため、色分類とあわせて確認することで、より詳しい時期を絞り込むことができる。文字の傾きというごく小さな違いだが、見比べてみると意外とはっきり判別できるポイントだ。

タグに記載されるロット番号や、意匠特許を取得したことを示す表記の有無も重要な手がかりだ。もっとも古い時代のタグにはこれらの表記が存在せず、意匠特許を取得したタイミング以降のタグから、ロット番号とあわせてこの特許表記が加わるようになった。表記の有無だけでなく、その文字色の組み合わせにも時代ごとの違いが見られる。特許表記が加わった直後は文字が斜体で記されていることも多く、後の時代になると水平な書体に統一されていくという流れがある。こうした細かな違いまで見比べることで、同じ年代帯の中でもさらに前期・後期の絞り込みができるようになる。
タグそのものの形にも時代ごとの特徴がある。長年にわたって四角い形のタグが使われてきたが、ある一時期だけ三角形のタグに切り替わった時期が存在する。この三角タグはごく短い期間だけ使われたとされ、四角いタグに比べて見かける機会が少ない。タグの形状という視覚的にわかりやすい特徴であるため、遠目からでも判別しやすいポイントだ。三角という珍しい形状ゆえにコレクターの間でも話題になりやすく、同じ時代の四角タグと比べて見た目のインパクトも強い。

タグに登録商標マークや生産国を示す表記が加わるようになったのも、年代を見分けるための重要な手がかりだ。この表記が加わる前の時代のタグには、これらの記載自体が存在しない。マークや表記の有無を確認することで、大まかな時代帯をさらに絞り込むことができる。あわせて表記の後にさらに別の略号が加わる時期もあり、こうした細部の追加情報も見逃さず確認しておくと精度が上がる。

| 時期の目安 | タグの通称 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 1930年代 | 赤タグ前期 | 黒地に赤・黄文字。「e」が斜め表記。ロット番号の記載なし |
| 1940年代前半〜中頃 | 赤タグ中期 | 「e」が斜めのまま。特定の表記がタグから消える変化が見られる |
| 1940年代後半〜1950年代前半 | 赤タグ後期 | 「e」がまっすぐな表記に変化。1949年以降はロット番号・特許表記が加わる |
| 1950年代後半 | 赤タグ最終期 | ロット番号・サイズ表記が黄色に統一される |
| 1960年頃〜1965年頃 | 三角タグ | タグの形状が四角から三角に変化。短期間のみ使用された希少なタイプ |
| 1965年頃〜1970年頃 | 黒タグ前期 | 四角タグに戻り、登録商標マーク・生産国表記が加わる |
| 1970年代前半 | 黒タグ後期 | タグの縫い付け位置が中心から腰の側面へ移動する個体が増える |
| 1970年代以降 | 移行期 | 別モデル系統への切り替えが進み、黒タグ自体の使用が終了していく |
1970年代に入ると、Leeの定番デニムは新しいモデル系統へと切り替わっていき、これにあわせて黒タグの使用も終了していく。切り替わりの直後には、旧モデルのフラッシャー(吊り下げ用の紙タグ)の在庫がそのまま新モデルに使われていたケースもあり、表記だけを鵜呑みにすると誤った判断をしてしまう可能性がある。もっとも簡便な見分け方として知られているのが、バックポケットの裏側に補強布が縫い付けられているかどうかというポイントだ。この補強布があれば旧モデル、なければ新モデルという判断ができるため、フラッシャーの表記だけでなく、こうした構造面の違いもあわせて確認しておくと安心だ。

実物を確認する際は、まずタグの色と文字色の組み合わせを見て大まかな時代帯を絞り込む。次に「Lee」の書体が斜めかまっすぐかを確認し、続いてロット番号・特許表記の有無を見る。そのうえでタグの形状が四角か三角かを確認し、最後に登録商標マークや生産国表記を見て、これまでの情報と矛盾がないかを突き合わせるという順序で進めると判断がしやすい。この一連の流れを覚えておくだけで、初めて手に取るアイテムでも迷わず年代の見当がつけられるようになる。

タグのデザインだけでなく、腰の後ろに付く革パッチの素材や、バックポケットの裏側に補強布があるかどうかも、年代判別や類似モデルとの区別に役立つ手がかりになる。初期の革パッチには毛の付いた素材が使われていた時期もあり、この点も知っておくと判断材料が増える。当時の実用性を重視した作り込みが、パッチひとつからも伝わってくる。ポケットの裏側を確認する癖をつけておくと、似た見た目のモデルとの取り違えを防ぐことができる。

オンラインで購入を検討する場合は、タグの正面写真だけでなく、タグが腰のどの位置に縫い付けられているかがわかる写真もあわせて依頼するのがおすすめだ。縫い付け位置は年代判別の参考になる要素のひとつであるため、全体を写した写真があると判断がしやすくなる。実店舗で確認する場合も、ポケットの裏側までめくって補強布の有無を確認する習慣をつけておくと、判断材料が格段に増える。あわせて、革パッチの質感や色合い、縫い目のほつれ具合といった全体の状態も見ておくと、タグの情報だけに頼らない総合的な判断ができるようになる。

A. 赤タグのほうが先に使われており、その後の時代に黒タグへと切り替わっている。三角タグはその間の短い移行期に使われたタイプだ。
A. 使用された期間がごく短かったとされているためだ。前後の四角タグに比べて流通量が少なく、見かける機会が限られている。
A. 大まかな目安にはなるが、それだけで断定するのは避けたほうがよい。タグの色や書体、登録商標マークの有無とあわせて確認することでより精度が高まる。
A. バックポケットの裏側に補強布があるかどうかを確認するとよい。補強布の有無は、似たシルエットの別モデルと区別する際の簡便な目安として知られている。
ヴィンテージ市場でLeeのアイテムに価格差が生まれるのは、単に古いか新しいかという単純な話だけではない。使用期間が短かった希少なタグデザインや、当時の生地の質感、縫製の丁寧さといった要素が組み合わさることで、コレクターの間での評価が変わってくる。タグから読み取れる情報は、単なる「年式」以上に、その一着がどのような時代の労働文化の中で使われていたのかを知る手がかりでもある。カウボーイや労働者に向けて開発されたパンツが、時代を経てヴィンテージとして愛される存在になったという流れを踏まえて眺めると、一枚のタグから読み取れる物語もより深く感じられるようになる。

Leeのタグから年代を読み解くには、タグの色と文字色の組み合わせ、ロゴの書体、ロット番号・特許表記の有無、タグの形状、登録商標マークと生産国表記という複数の要素を組み合わせて確認していくことが欠かせない。シルエットがほとんど変わらないモデルだからこそ、タグに刻まれた小さな変化の積み重ねが、その一着の歩んできた時代を物語っている。ひとつずつ着眼点を確認しながら、自分の手元にある一着の背景を紐解いていってほしい。見た目の変化が少ない分、知識を持って眺めたときに見えてくる違いの発見が、このブランドを深く楽しむための鍵になる。
この記事で調べたものが、いまお店にあるかを見られます。売り切れの場合は出ません。
いまお店に在庫がありません—