古着辞典 > タグの見分け方

アメリカントラディショナルの代名詞として、古着屋で必ずと言っていいほど見かけるRalph Lauren(ラルフローレン)。長い歴史の中で数多くのブランドラインを展開してきたこともあり、タグのデザインも実に多彩だ。ヴィンテージ市場では、襟元や裾に付くタグの書体や色使いを読み解くことで、そのアイテムがおおよそどの年代のどのラインのものなのかを推測できることが知られている。この記事では、Ralph Laurenのタグに現れる年代のサインを、古着初心者の方にもわかりやすいように整理して紹介していく。ラインの多さゆえに情報量は多くなるが、順を追って見ていけば決して難しいものではない。一枚のタグから読み取れる情報が多いというのは、裏を返せばそれだけ深く楽しめるブランドだということでもある。
Ralph Laurenは、創業者であるラルフ・ローレン氏がネクタイの販売から始めたビジネスを起点に成長したブランドである。当時主流だった細身のネクタイとは対照的な、幅広で色鮮やかなデザインが評判を呼び、これをきっかけにメンズウェア全般を手がける本格的なラインを立ち上げるに至った。その後、レディースラインや数々のサブブランドを次々と展開し、映画の衣装制作なども手がけながら、世界的なライフスタイルブランドへと成長していった。近年ではスポーツの国際大会でアメリカ代表チームのユニフォームを手がけるなど、その活躍の場はアパレル業界にとどまらず広がり続けている。ブランドラインの多さは、この成長の過程で生まれた枝分かれの結果であり、タグの多様さもそのままブランドの歩みを反映していると言える。創業者自身がファッション業界での正規の経験を積んでいたわけではなく、セールスマンとしての経歴からスタートしたという逸話も広く知られており、既存の型にとらわれない色使いやデザイン感覚が、このブランドの個性を形づくってきたと言えるだろう。
Ralph Laurenのアイテムに広く見られる、馬に乗った選手がスティックを振るう刺繍は、ポロ競技をモチーフにしたブランドの象徴的な意匠である。この意匠自体は長い年月にわたって大きく変わっていないため、単体でこの刺繍だけを見て年代を判断するのは難しい。むしろ刺繍の縫い密度や糸の質感、台座になっている生地の色合いといった細部のほうが、年代や真贋を見極める際には参考になる。同じデザインに見えても、拡大して比べてみると縫い目の粗さや光沢感に違いが出ることがあり、こうした肉眼での見比べも判断材料のひとつになる。ポニーの刺繍がアイテムの格を直接示すわけではない点も、あわせて押さえておきたいポイントだ。

タグに記載されたブランド名の書体は、年代を見分ける最初の手がかりになる。創業初期は全て大文字で表記されたタイプが使われていたが、その後の時代には先頭の文字だけを大文字にした表記へと変わっていった。まずはこの大文字表記か、先頭のみ大文字の表記かという違いを見極めることが、年代判別の入り口になる。文字間の詰まり具合や刺繍の糸の太さにも時代ごとの傾向があり、同じ書体の範囲内でもさらに前期・後期といった細かな違いを見出せる場合がある。
タグの地色や形にも時代ごとの特徴がある。紺色を基調にしたタイプが長く使われている一方で、緑色を基調にしたタイプや、台形のような独特の形をしたタイプ、白色を基調にしたタイプなど、特定の期間だけ使われた色や形のタグも存在する。見た目のインパクトが強いぶん、コレクター心をくすぐるタイプでもある。これらは全体的な流通量が少なく、見かける機会が限られているものも多い。展開期間が特に短かったタイプは、後年になって再評価が進み、当時は見向きもされなかったようなアイテムに高い値が付くこともある。市場の評価は時代とともに変わっていくものだと実感させられるポイントでもある。

Ralph Laurenには非常に多くのブランドラインが存在し、タグにはそのライン名がそのまま記載されている。中心となるラインの表記に加えて、安価ラインや、スポーツ寄りのライン、ヴィンテージテイストを追求したラインなど、それぞれ独自のロゴやカラーリングを持ったタグが使われている。どのライン名が記載されているかを確認することが、単なる年代だけでなく、そのアイテムの位置づけを知るうえでも重要になる。
ブランドタグの下に、素材や生産国を記載した別タグが縫い付けられている個体とそうでない個体がある。この素材表記タグが加わるようになった時期以降のものは、比較的新しい年代のものと判断する材料になる。逆に言えば、この種のタグが見当たらない場合は、それだけ古い時代に作られた可能性を考慮してよいということになる。

タグの折り返し部分の四隅がしっかりと補強されているかどうかも、年代や真贋を見極める際の手がかりのひとつとされる。地味な部分だが、意外と見落とされがちな重要ポイントだ。正規品は縫製が丁寧に仕上げられている傾向があり、こうした細部の作りこみを確認することで、より確からしい判断につながる。逆に精巧に作られた模倣品も少なくないため、タグ単体の見た目だけで判断せず、縫い糸の色味や折り返しのステッチ幅といった細部まで見比べる姿勢が大切だ。生産国や年代によって仕様が異なる場合もあるため、一つの基準に頼りすぎず、複数の情報を総合して判断するのが実務的な進め方と言える。

| 時期の目安 | タグの通称 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 1960年代後半〜1970年代 | 大文字タグ | ブランド名が全て大文字で表記される。紺地に白または銀の刺繍が中心 |
| 1980年代前半 | 三角タグ | 台形に近い独特の形状。スイングトップなどによく使われる |
| 1980年代 | 緑タグ | 緑色を基調にしたタグ。ボーイズサイズを中心に使われる |
| 1980年代後半〜1990年代前半 | 白タグ | 紺地が主流の中では珍しい白色ベースのタグ |
| 1990年代〜2010年代半ば | オールドタグ | 先頭のみ大文字の表記に変化。素材表記タグが加わる個体が増える |
| 2010年代半ば以降 | 現行タグ | メンズ・レディース・キッズの表記が統合され、全て大文字の表記に回帰 |

Ralph Laurenの古着を探すうえで避けて通れないのが、ブランドラインの多さだ。中心となるメインラインのほかに、低価格帯を担っていたライン、カントリー調のデザインを得意としたライン、そのカントリー系ラインの後継としてヴィンテージ感を追求した派生ライン、スポーツウェアに特化したライン、学生層をターゲットにしたラインなど、それぞれ展開時期も特徴も異なるラインが数多く存在する。中でも展開期間が数年ほどと短命だったラインは、現存数自体が少なく、コレクターの間で特に人気が高い傾向がある。数年で終了したラインほど熱心なファンが多いというのは、ヴィンテージ市場ならではの面白い現象と言えるだろう。タグに記載されたライン名を確認することは、年代だけでなくそのアイテムの希少性を知るうえでも欠かせない作業だ。ヴィンテージ感を追求した派生ラインには、展開初期にだけ使われた特徴的な意匠のタグが存在し、後年に一度展開が休止された後、需要の高まりを受けて復活したという経緯を持つラインもある。休止前と復活後とでタグの細部が微妙に異なることもあり、そうした違いを知っているとより深く楽しめる。

実物を確認する際は、まずタグに記載されたブランド名の書体を見て大まかな時代帯を絞り込む。次にタグの地色と形状を確認し、続いてどのブランドライン名が記載されているかを見る。そのうえで素材表記タグの有無を確認し、最後にタグの縫製や補強の質感を見て、これまでの情報と矛盾がないかを突き合わせるという順序で進めると判断がしやすい。

オンラインで購入を検討する場合は、タグの正面写真だけでなく、タグの折り返し部分や縫い付け位置がわかる写真もあわせて依頼するのがおすすめだ。補強の有無や刺繍の密度は、正面からの写真だけでは判断しづらいことが多いため、できるだけ近接して撮影してもらうとよい。実店舗で確認する場合も、タグをめくって素材表記タグの内容まで確認する習慣をつけておくと、判断材料が格段に増える。あわせて、生地の織り方や色落ちの具合、ボタンの刻印といった全体の質感も見ておくと、タグの情報だけに頼らない総合的な判断ができるようになる。

A. ブランド名が全て大文字で表記された最初期のタイプが、現存する中でも特に古い部類にあたるとされる。
A. どちらも主流だった紺地のタグに比べると流通量が少なく、見かける機会自体が限られているため、比較的珍しいタイプとされている。
A. ライン名の記載だけで真贋を断定するのは避けたほうがよい。刺繍の質感やタグの補強、素材表記タグの内容とあわせて総合的に確認することが大切だ。
A. そうとは限らない。素材表記タグが加わる前の時代に作られたものであれば、正規品であってもこのタグ自体が存在しない。年代の目安として使うのが正しい。
ヴィンテージ市場でRalph Laurenのアイテムに価格差が生まれるのは、単に古いか新しいかという単純な話だけではない。展開期間が短かったブランドラインの希少性や、当時の生地の質感、刺繍の丁寧さといった要素が組み合わさることで、コレクターの間での評価が変わってくる。タグから読み取れる情報は、単なる「年式」以上に、そのアイテムがどのブランドラインの、どのような時代背景の中で作られたのかを知る手がかりでもある。数あるラインの中には、デザイナーが交代したタイミングで方向性が大きく変わったものや、特定のカルチャーとの結びつきが強かった時期を経て人気が再燃したものもあり、こうした背景を知ったうえでタグを眺めると、単なる古さ以上の物語が見えてくる。

Ralph Laurenのタグから年代を読み解くには、ブランド名表記の書体、タグの地色と形状、ブランドライン名、素材表記タグの有無、補強や縫製の質感という複数の要素を組み合わせて確認していくことが欠かせない。ブランドラインの多さは一見複雑に思えるが、ひとつずつ着眼点を確認していけば、タグ一枚からその一着の背景を読み解けるようになっていくはずだ。同じ紺色のタグに見えても、書体やライン名の違いに気づけるようになると、古着屋の棚の見え方そのものが変わってくる。これまで見過ごしていた一着に、思わぬ発見があるかもしれない。
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