ASICS(アシックス)の古着は、タグやシュータンラベルに書かれたブランド名が「Onitsuka Tiger」なのか「asics TIGER」なのか「asics」なのかを見るだけで、大まかな年代が決まる。1949年の創業から1977年の社名変更、1990年代のロゴ刷新、2002年のオニツカタイガー復活と、企業史の節目がそのまま表記に刻まれているからだ。この記事では、ASICSのタグで年代を見分ける5つのポイントを早見表と手順つきで整理し、復刻品の多い人気ラインを古着屋やフリマアプリで見極める方法をまとめた。

先に結論:ASICSのタグ年代判別 3つの要点
- ブランド名の表記が最大の手がかり。「Onitsuka Tiger」は1977年以前の当時物か2002年以降の復活ライン、「asics TIGER」は1977年〜90年代前半、スパイラルの「a」ロゴ付き「asics」は90年代以降。
- タイガーストライプは1966年に登場した意匠。あるかどうかより、線の本数と太さ、縫い付けかプリントかで時代を読む。
- 「MADE IN JAPAN」は日本製の証だが、1970〜80年代の当時物と2000年代以降の日本製ラインの両方にあるため、ブランド名表記と組み合わせて判断する。
ASICSのタグ年代早見表(1949年〜現在)
まずはASICSとオニツカタイガーの歴史を、タグ・ラベルの表記と合わせて早見表にまとめた。この表のどこに当てはまるかを見るだけで、年代の見当がつく。
| 時期の目安 | ブランド名の表記 | ロゴ・意匠 | 生産国の傾向 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|---|
| 1949年〜1965年 | Onitsuka Tiger(オニツカタイガー) | 虎のマークや社名ロゴ。ストライプはまだ無い | 日本製 | 神戸で創業。バスケットシューズやマラソンシューズが中心 |
| 1966年〜1976年 | Onitsuka Tiger | タイガーストライプが登場し定着 | 日本製 | メキシコ五輪へ向けて開発。米国の輸入代理店との提携期 |
| 1977年〜1990年代前半 | asics TIGER(アシックスタイガー) | ストライプ継続。「asics」の小文字ロゴ | 日本製が中心、80年代後半から海外製が増える | 3社合併で社名変更。GEL搭載モデルが1986年に登場 |
| 1990年代前半〜 | asics(スパイラルロゴ) | 渦巻き状の「a」マーク。ストライプの無いモデルも増える | アジア製が中心 | GEL-LYTE III(1990年)、GEL-KAYANO(1993年)など名作の時代 |
| 2002年〜 | Onitsuka Tiger(復活ライン) | 60〜70年代のデザインを再現 | アジア製、一部日本製(NIPPON MADE) | 当時物と復刻の見分けが必要になる時期 |
ASICSの年代判別で覚えておきたいのは、「Onitsuka Tiger」表記が2つの時代に存在するという点だ。1977年以前の当時物と2002年以降の復活ラインを、ラベルの形式と生産国で切り分ける必要がある。
ASICSとはどんなブランドか:オニツカタイガーからASICSへ
ASICSの前身は、1949年に鬼塚喜八郎が神戸で創業した鬼塚商会である。戦後の若者にスポーツを通じて健全な心身を、という思いから始まり、国産バスケットボールシューズの開発でブランド「オニツカタイガー」の名を広めた。1966年、メキシコ五輪へ向けたトレーニングシューズにタイガーストライプが採用され、以後この縞模様がブランドの象徴になる。
1977年、鬼塚商会はスポーツウェアのジィティオ、ニットのジェレンクと合併し、ラテン語の「Anima Sana In Corpore Sano(健全な身体に健全な精神があれかし)」の頭文字から「ASICS(アシックス)」と改称した。この社名変更がタグ表記の最大の節目で、以後は「asics TIGER」の表記を経て、1990年代にスパイラルの「a」ロゴを持つ現行の「asics」表記へ移っていく。1986年に衝撃吸収素材GELを搭載したモデルが登場し、1990年のGEL-LYTE III、1993年のGEL-KAYANOなど、いまも復刻される名作が90年代に生まれた。
2002年にはオニツカタイガーが独立したブランドとして復活し、60〜70年代のデザインを再現したモデルが世界的にヒットした。この復活ラインの存在が、古着の年代判別を少し複雑にしている。同じ日本発で企業史の節目がロゴに残るMizuno(ミズノ)のタグ年代と並べて読むと、日本のスポーツブランドに共通する「社名変更とロゴ刷新が年代の目印になる」というパターンが見えてくる。
ASICSのタグで年代を見分ける5つのポイント
ASICSの年代判別は、①ブランド名の表記→②タイガーストライプ→③シュータンラベル→④ヒールのロゴ→⑤生産国の順に確認する。①で時代帯がほぼ決まり、②〜④で細かな時期と当時物か復刻かを、⑤で仕上げる流れだ。
①ブランド名の表記(Onitsuka Tiger・asics TIGER・asics)

1977年の社名変更を境に、タグやラベルのブランド名は「Onitsuka Tiger」から「asics TIGER」へ変わった。さらに1990年代前半にはスパイラルの「a」マークを伴う「asics」表記へ刷新され、「TIGER」の文字が外れていく。したがって「asics TIGER」と書かれていれば1977年から90年代前半、「asics」単独なら90年代以降と読める。
注意したいのは「Onitsuka Tiger」表記だ。1977年以前の当時物である場合と、2002年以降の復活ラインである場合の両方があり得る。当時物はラベルの印刷が素朴で生産国は日本、復活ラインはラベルの作りが現代的で生産国はアジア各国(一部に日本製の上位ライン)というふうに、ラベルの形式と生産国で切り分ける。
②タイガーストライプのデザイン
1966年に登場したタイガーストライプは、オニツカタイガーとASICSの両方で使われ続けている意匠だ。存在の有無だけでなく、線の本数、太さ、そして縫い付けかプリントかを見ると年代の手がかりになる。60〜70年代の当時物は革やスエードのストライプを縫い付けたものが多く、80年代以降はシンセティック素材や反射材が使われるようになる。
一方、90年代以降の機能性重視のランニングモデルには、ストライプを持たないデザインも多い。ストライプが無いからといって偽物と判断するのは誤りで、あくまでラインの性格を示す要素として見る。
③シュータンラベルのデザイン

シュータン(ベロ)に付くラベルは、ブランドと時代でデザインが異なる。オニツカタイガー期は虎のマークや「TIGER」の文字を配したレトロなラベル、asics TIGER期は「asics」の小文字ロゴと「TIGER」の組み合わせ、スパイラルロゴ期は「a」マークを中心にした洗練されたラベルになる。配色も、当時物は紺や赤の落ち着いた色使いが多く、90年代以降はモデルごとに多彩になる。
ラベルの裏側や内側には品番・サイズ・生産国が印刷されていることが多く、これが年代判別の実務上いちばん重要な情報源だ。フリマアプリではラベル表面の写真しかない出品が多いので、裏側の写真を依頼したい。
④ヒール部分のロゴデザイン
かかとのロゴにも時代差がある。オニツカタイガー期はレトロな書体の「TIGER」やロゴマーク、asics TIGER期は直線的な「asics」の文字、スパイラルロゴ期は「a」マークを中心にした立体的な処理が特徴だ。復活ラインのオニツカタイガーはレトロな書体を再現しているが、印刷や刺繍の精度が当時物より高く、エッジが整っている。
⑤「MADE IN JAPAN」表記の有無

日本製を示す「MADE IN JAPAN」の表記は、1970〜80年代の当時物と、2000年代以降の「NIPPON MADE」など日本製の上位ラインの両方に見られる。当時物なら「asics TIGER」や「Onitsuka Tiger」の素朴なラベルと組み合わさり、上位ラインなら現代的なラベルと「NIPPON MADE」などの明示的な表記が伴う。生産国単独ではなく、①と③の結果と合わせて判断するのが基本だ。
80年代後半からは韓国、台湾、90年代以降は中国、インドネシア、ベトナムなどアジア製が増える。生産国の変化はASICSに限らず日本のスポーツブランド全体に共通する流れなので、年代の下限を示す目安として使える。
年代別に見るASICSタグの特徴(オニツカタイガー期・asics TIGER期・スパイラルロゴ期・復活ライン)

- 1949〜1976年(オニツカタイガー期):「Onitsuka Tiger」表記、素朴な虎のラベル、縫い付けのストライプ、日本製。状態の良い個体はきわめて希少で、コレクター向けの価格になる。
- 1977〜1990年代前半(asics TIGER期):「asics TIGER」表記、小文字ロゴ、日本製が中心で後半はアジア製が混じる。1986年以降はGEL搭載モデルが登場。古着市場で「当時物のASICS」といえば主にこの年代。
- 1990年代前半〜2000年代(スパイラルロゴ期):「a」マーク付きの「asics」表記、ストライプの無い機能系モデルが増える。GEL-LYTE III、GEL-KAYANOなど名作の当時物はここ。
- 2002年以降(オニツカタイガー復活ライン):「Onitsuka Tiger」表記だが、ラベルは現代的で生産国はアジア各国。日本製の上位ラインは「NIPPON MADE」と明示。当時物との区別はラベル形式と生産国で。
ASICSの古着を実際に確認する手順(5ステップ)

- ブランド名の表記を読む。「asics TIGER」なら1977〜90年代前半、「asics」なら90年代以降、「Onitsuka Tiger」なら1977年以前か2002年以降のどちらかとして次へ。
- タイガーストライプの素材と処理を見る。縫い付けの革やスエードなら古く、シンセティックや反射材なら80年代以降。
- シュータンラベルの表と裏を確認する。表でデザインの時代を、裏で品番・サイズ・生産国を読む。
- ヒールのロゴの書体と加工精度を見る。素朴なら当時物、エッジが整っていれば復刻の可能性。
- 生産国と①〜④の推定に矛盾がないか突き合わせる。「Onitsuka Tiger」で日本製かつ素朴なラベルなら当時物、アジア製で現代的なラベルなら復活ラインと判断する。
布タグで年代を読むアパレルブランドと違い、スニーカーはラベル・ヒール・ソールなど複数箇所を照合する。ASICSはブランド名表記という強い手がかりがあるぶん、この手順で進めれば迷いにくい。
あの世界的スニーカーブランドとの意外な接点

オニツカタイガーの歴史を語るうえで欠かせないのが、1960年代にアメリカでオニツカタイガーの輸入販売を担った代理店との関係だ。この代理店は1964年からオニツカタイガーを輸入し、のちに独立して自社ブランドを立ち上げ、世界的なスニーカーブランドへ成長した。提携は1971年頃に解消されるが、60年代の米国市場向けオニツカタイガーには、この代理店経由で流通した個体が含まれている。
この経緯は古着の見方にも影響する。60年代後半の米国流通品は、日本国内向けとはラベルや箱の表記が異なることがあり、コレクターの間では特別な扱いを受ける。日本のものづくりが世界のスニーカー史に与えた影響を実感できるエピソードとして、覚えておくと古着を見る目が変わるはずだ。
フリマアプリ・古着屋でASICSの古着を買うときの注意点

オンラインで購入するときは、シュータンラベルの表と裏、ヒールのロゴの3点を接写した写真を確認したい。特に「Onitsuka Tiger」表記の出品は、当時物と2002年以降の復活ラインが混在しているため、ラベル裏の生産国と品番が読めない場合は必ず追加写真を依頼する。「ヴィンテージ」と書かれていても、生産国がアジア各国なら復活ラインの可能性が高い。
実店舗では、ラベルとヒールに加えて、ストライプの素材と縫い付け、ソールのゴムの硬化具合、ミッドソールの加水分解の有無まで見ておく。70〜80年代の日本製は、現行のアジア製とは異なる厚みのある革と丁寧なステッチが特徴で、ソールは経年で飴色に変わっていることが多い。80〜90年代のGEL搭載モデルはミッドソールが崩れやすいので、押して弾力が残っているかを確認したい。
価格については、当時物のオニツカタイガー、asics TIGER期の日本製、90年代の名作モデルの当時物で評価が大きく異なる。年代判別で得た情報と、サイズ、コンディションを合わせて値付けの妥当性を判断するのが基本だ。全国の古着屋を探すときも、スニーカー専門店や国産ヴィンテージに強い店ほどラベル裏まで確認して値付けしている。
ASICSのタグ年代判別 よくある質問

オニツカタイガーとASICSはどちらが古い?
オニツカタイガーが1949年創業の前身ブランドで、1977年の3社合併と社名変更を経てASICSになった。ただし2002年以降はオニツカタイガーが復活ラインとして再展開されているため、「Onitsuka Tiger」表記だけで古いとは判断できない。
なぜ社名を「ASICS」に変えた?
1977年に鬼塚商会、ジィティオ、ジェレンクの3社が合併した際、ラテン語の「Anima Sana In Corpore Sano(健全な身体に健全な精神があれかし)」の頭文字から新社名を付けた。この社名変更がタグ表記の最大の節目になっている。
タイガーストライプが無いと偽物?
いいえ。90年代以降の機能性重視のランニングモデルにはストライプを使わないデザインも多い。ストライプはラインの性格を示す要素であり、真贋はラベルの印刷精度やロゴの書体、縫製の均一さで判断する。
「MADE IN JAPAN」表記だけで年代を決められる?
決められない。1970〜80年代の当時物と、2000年代以降の「NIPPON MADE」など日本製の上位ラインの両方に日本製表記がある。ブランド名の表記とラベルの形式を組み合わせて判断する。
復活ラインのオニツカタイガーと当時物はどう見分ける?
ラベルの形式と生産国で見分ける。当時物は印刷が素朴で日本製、復活ラインはラベルが現代的でアジア製(上位ラインは「NIPPON MADE」と明示)。ヒールのロゴの加工精度も、復活ラインのほうがエッジが整っている。
まとめ:ASICSの年代は「ブランド名表記」から読み始める

ASICSの年代判別は、ブランド名の表記、タイガーストライプの処理、シュータンラベルのデザイン、ヒールのロゴ、生産国表記という5つのポイントを順に確認していく。「Onitsuka Tiger」「asics TIGER」「asics」という表記の違いが時代帯を決め、ラベル形式と生産国が当時物か復刻かを分ける。この2段構えで見れば、復活ラインの多いオニツカタイガーでも当時物を見誤らない。
神戸の小さな会社から始まり、五輪の舞台を経て世界に広がったブランドだからこそ、表記の変遷にはそのまま日本のスポーツ史が刻まれている。手元の一足がどの時代の「タイガー」なのか、ラベルを手がかりに確かめてみてほしい。