Umbro(アンブロ)の古着は、タグに織り込まれたダブルダイヤモンドロゴの形と、ブランド名の大文字・小文字、生産国表記の3つを見るだけで、おおよその年代を絞り込める。1924年にイングランドで生まれ、サッカーのナショナルチームとともに歩んできたブランドだけに、タグの変化はそのままフットボールウェアの歴史でもある。この記事では、Umbroのタグで年代を見分ける5つのポイントを早見表と手順つきで整理し、90年代アイテムの人気が高まっている今、古着屋やフリマアプリで失敗しないための確認方法をまとめた。

先に結論:Umbroのタグ年代判別 3つの要点
- ロゴの菱形が1つか2つかを見る。2つ重なったダブルダイヤモンドが定着してからのタグが古着市場の主流で、菱形が1つの個体は初期の希少品と考えてよい。
- 「MADE IN ENGLAND」の表記があれば、生産の中心がアジアへ移る前のイギリス製。90年代前半までの個体に多く、評価も高い。
- ブランド名の大文字・小文字と菱形の角の丸みを組み合わせると、80年代・90年代・2000年代・2008年以降の4つの時代帯に振り分けられる。
Umbroのタグ年代早見表(1924年〜現在)
最初に、Umbroのタグを時代ごとに並べた早見表を示す。細かな例外はあるものの、古着屋で手に取ったときの第一印象を整理するにはこの表で十分だ。
| 時期の目安 | ロゴの形 | ブランド名の表記 | 生産国の傾向 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|---|
| 1924年〜1960年代 | 菱形が1つのシングルダイヤ | 筆記体・セリフ体が混在 | イギリス製が中心 | ユニフォームの供給品が多く、古着市場での流通は極めて少ない |
| 1970年代〜1980年代 | ダブルダイヤモンドが定着 | 小文字表記が目立つ | MADE IN ENGLAND | イングランド代表やクラブの公式ウェアが中心。角の尖ったシャープな菱形 |
| 1990年代 | ダブルダイヤモンド(角が尖る) | 大文字「UMBRO」が主流 | イギリス製から東南アジア製へ移行 | 古着市場でもっとも数が多く、スポーツミックスの主役になる年代 |
| 2000年代 | 菱形の角に丸みが出る | 大文字が中心 | 中国・ベトナムなど | 洗濯表示が独立した別タグになり、サイズ表記が多言語化 |
| 2008年〜2012年 | 大ぶりで肉厚な菱形に回帰 | 小文字「umbro」が復活 | アジア製 | ナイキ傘下の時期。復刻デザインが増え、当時物との混同に注意 |
| 2012年以降 | 現行ロゴ | 小文字が中心 | アジア製 | ライセンス会社名の記載が増え、国・地域ごとに仕様が分かれる |
表を見てわかるとおり、年代を分ける手がかりは「ロゴの形」「文字の大小」「生産国」の3系統に集約される。以下でそれぞれの見方を詳しく説明する。
Umbroとはどんなブランドか:タグを読む前に知っておきたい歴史
Umbroは1924年、イングランド北西部チェシャー州のウィルムスロー(マンチェスター近郊)で、ハロルドとウォレスのハンフリーズ兄弟が創業した。社名は「Humphreys Brothers(ハンフリーズ兄弟)」を縮めたもので、二人の名前がそのままブランド名に残っている点が、後述するロゴの意味にもつながっている。
創業当初からサッカー用ウェアに軸足を置き、1930年代にはイングランドのクラブチームへユニフォームを供給する立場を確立した。1966年、母国開催のワールドカップでイングランド代表が優勝したとき、選手が着ていたのはUmbroのユニフォームである。この一戦がブランドの名を決定的なものにし、以後2013年にナイキへ供給元が切り替わるまで、イングランド代表とUmbroの関係は半世紀近く続いた。
企業としては2008年にナイキが買収し、2012年にはブランド管理会社のアイコニックス(Iconix Brand Group)へ売却されている。日本では長らくデサント社がライセンス契約のもとで企画・販売を行っており、国内流通品のタグにはその社名が記載されることが多い。この「誰が作っていたか」の移り変わりが、タグの表記に直接あらわれるため、年代判別ではブランド史の節目を頭に入れておくと格段に読みやすくなる。
ちなみに、同じサッカーの世界で覇を競ったadidas(アディダス)のタグ年代やPUMA(プーマ)のタグ年代と比べると、Umbroは企業の売買が繰り返された分だけ、タグの仕様が短い周期で変わっている。そこが判別しやすさにもつながっているというわけだ。
Umbroのタグで年代を見分ける5つのポイント
ここからが本題である。Umbroのタグを見るときにチェックすべき着眼点は次の5つで、上から順に確認すると自然に時代帯が狭まっていく。
①ロゴの菱形が1つか2つか(シングルダイヤかダブルダイヤか)

Umbroの象徴であるダブルダイヤモンドは、2つの菱形を重ねた形をしている。この2つの菱形は創業者であるハンフリーズ兄弟を表しているとされ、ブランドの原点をそのまま図案化した意匠だ。古着市場で見かける個体のほとんどはこのダブルダイヤモンドだが、ごく初期のタグには菱形が1つだけのものが存在し、1970年代半ばを境にダブルダイヤモンドが定着していったとされる。
したがって、菱形が1つしかないタグに出会ったら、まずは初期の希少な個体である可能性を疑ってよい。ただし、菱形の一部が刺繍のほつれで欠けているケースもあるため、ロゴの輪郭が完全に残っているかを確認したうえで判断したい。
②ブランド名が小文字か大文字か
ロゴの下やタグの中央に入るブランド名は、時代によって「umbro」と小文字で表記された時期と、「UMBRO」と大文字で表記された時期が入れ替わっている。大まかには、1980年代までは小文字、1990年代は大文字、そして2008年のナイキ傘下入り以降に再び小文字へ戻ったという流れだ。
つまり小文字だからといって一律に古いとは限らない。小文字表記の場合は、③の角の丸みや④の生産国表記と突き合わせて、80年代の個体なのか2008年以降の個体なのかを切り分ける必要がある。ここがUmbroの年代判別でいちばん間違えやすいところなので、文字の大小だけで結論を出さないよう注意したい。
③ダイヤモンドの角が尖っているか丸みがあるか

2000年代に入ると、菱形の角に丸みを帯びさせたロゴが使われるようになった。それ以前の菱形は角がシャープに尖っており、90年代までのタグはこの尖った菱形が基本になる。細長く角の丸い菱形なら2000年代、角が鋭くエッジの立った菱形なら90年代以前、という見方が出発点だ。
ただし2008年以降は復刻的な意匠として大ぶりで肉厚な菱形が戻ってきているため、角の形だけを見ると90年代と2008年以降を取り違えることがある。角の形はあくまで大まかな時代帯を絞る補助線として使い、必ず他のポイントと組み合わせて判断してほしい。
④「MADE IN ENGLAND」表記の有無
Umbroの古着でもっとも評価に直結するのが生産国表記だ。イギリス製を示す「MADE IN ENGLAND」や「MADE IN U.K.」が入った個体は、生産の中心がアジアへ移る以前、目安として90年代前半までに作られたものと考えられる。イングランド代表やプレミアリーグ各クラブのユニフォーム、ドリルトップ、トレーニングウェアにこの表記が残っていれば、当時物としての価値は高い。
生産国表記は、ブランドタグ本体ではなく脇に縫い付けられた品質表示タグに入っていることが多い。フリマアプリではブランドタグの写真しか載っていない出品も多いので、生産国が写った写真を必ず確認するか、出品者に追加の写真を依頼したい。
⑤タグの素材と洗濯表示・サイズ表記の形式

タグそのものの作りにも年代の痕跡が残る。ダブルダイヤモンドが定着した時代のタグは、ナイロンやポリエステルの織りネームで耐久性が高く、洗濯表示は別タグとして併設される形式が一般的になった。2000年代以降になると、サイズ表記がS・M・Lに加えて欧州・米国・日本規格を併記する多言語形式へ変わり、洗濯表示タグもピクトグラム中心の縦長タイプになっていく。
日本のデサント社が企画した国内向け商品では、タグにデサントの社名や日本サイズが記載されているのが目印だ。海外の当時物と国内ライセンス品ではデザインが同じでも仕様が異なることがあるので、「どの市場向けに作られた一着なのか」を意識してタグを読むと、年代だけでなく背景まで把握できる。
年代別に見るUmbroタグの特徴(70年代・80年代・90年代・2000年代以降)

5つの着眼点を年代ごとに組み合わせると、次のようなプロファイルになる。手元の一着がどれに近いかを当てはめてみてほしい。
- 1970年代以前:菱形が1つのロゴや、筆記体のブランド名が見られる。ほぼすべてイギリス製で、ユニフォームやトラックジャケットが中心。古着市場に出る数は非常に少なく、状態の良い個体はコレクター向けの価格になる。
- 1980年代:ダブルダイヤモンドと小文字「umbro」の組み合わせ。生産国はイギリス製が基本で、角の尖った菱形。ナイロン素材のトラックジャケットやゲームシャツが代表的なアイテムだ。
- 1990年代:大文字「UMBRO」表記に切り替わり、前半はイギリス製、後半はインドネシアやタイなど東南アジア製が混在する。イングランド代表のホーム・アウェイ各ユニフォーム、ドリルトップ、ハーフジップのトレーニングウェアなど、現在の古着人気を支えるアイテムの大半がこの年代に集中している。
- 2000年代:菱形の角に丸みが出て、生産国は中国製が中心になる。サイズ表記が多言語化し、洗濯表示が独立した縦長タグに変わる。デザインは90年代に比べてタイトなシルエットが増える。
- 2008年以降:ナイキ傘下、そしてアイコニックス傘下へと移るなかで、大ぶりな菱形と小文字ロゴが復活する。90年代デザインの復刻や、ファッションブランドとのコラボレーションが増える時期なので、タグ裏の生産年表記やライセンス会社名まで確認して当時物と区別したい。
Umbroの古着を実際に確認する手順(5ステップ)

店頭やフリマアプリで実物を確認するときは、次の順番でチェックすると迷いにくい。
- ロゴの菱形の数を見る。1つなら初期の希少品、2つならダブルダイヤモンド定着後の個体として次へ進む。
- ブランド名の大文字・小文字を確認する。大文字なら90年代〜2000年代、小文字なら80年代以前か2008年以降のどちらかに絞る。
- 菱形の角の形を見る。尖っていれば90年代以前、丸みがあれば2000年代、大ぶりで肉厚なら2008年以降の可能性が高い。
- 品質表示タグの生産国を読む。MADE IN ENGLANDなら90年代前半以前、東南アジア製なら90年代後半、中国製なら2000年代以降の目安になる。
- タグの素材・洗濯表示・サイズ表記の形式が、ここまでの推定と矛盾していないか突き合わせる。矛盾があれば、後年の付け替えや復刻品を疑う。
この5ステップは、他ブランドのタグ年代判別でも共通して使える考え方だ。ロゴ→文字→細部→生産国→整合性チェックという流れを習慣にしておくと、ブランドが変わっても応用が利く。
「PRO TRAINING」「England」など表記別の見どころ

Umbroのタグには、年代とは別に「どのラインの商品か」を示す表記が入っていることがある。代表的なのが「PRO TRAINING」で、これは選手のトレーニング用に企画された本格ラインを示す。一般向けのカジュアル商品に比べて生地が厚く、縫製や補強も丈夫なため、古着でも状態の良い個体が残りやすい。
「England」の文字やスリーライオンズ(イングランド代表の紋章)が入ったタグは、代表チームの公式ウェアかそのレプリカであることを示す。ワールドカップやユーロの開催年と照らし合わせれば、モデルの発売年をかなり正確に特定できる。同様に、マンチェスター・シティやチェルシーなどクラブ名が入ったタグも、そのクラブとUmbroの契約期間が判別の手がかりになる。
こうしたライン表記やチーム表記は、ロゴの形状から導いた年代推定を裏づける「第二の証拠」として使える。とくに90年代のドリルトップやゲームシャツは復刻も多いので、表記から推定した年代とタグの仕様が噛み合っているかを必ず確かめたい。
フリマアプリ・古着屋でUmbroの古着を買うときの注意点

オンラインで購入を検討するときは、ブランドタグの正面写真だけでなく、品質表示タグ(生産国・素材・洗濯表示)が読める写真を確認するのが基本だ。写っていなければ追加を依頼する。ロゴの角の形やブランド名の大小は接写でないと判別しにくいので、ダブルダイヤモンドの部分を拡大した写真も欲しいところである。
実店舗では、タグをめくって生産国表記を読む習慣をつけておきたい。あわせて、ナイロン生地の張りや光沢、ジップの刻印、リブの伸び具合といった全体の質感も見ておくと、タグだけに頼らない総合的な判断ができる。イギリス製時代のトラックジャケットは生地の織りが現行品より粗く独特の風合いがあり、慣れてくると触っただけで時代の見当がつくようになる。
値付けの面では、同じ90年代のUmbroでも、代表ユニフォームやクラブの公式品はレプリカや一般商品より高い。逆に、年代が古くても汚れや色抜けの激しい個体は評価が下がる。年代判別で得た情報と、コンディション、アイテムの種類の3つを合わせて、その価格が妥当かを判断するのが賢い買い方だ。全国の古着屋を探す際も、スポーツ古着に強い店ほどこうした表記を丁寧に確認して値付けしている傾向がある。
Umbroのタグ年代判別 よくある質問

ダブルダイヤモンドの2つの菱形には何の意味がある?
創業者であるハロルドとウォレスのハンフリーズ兄弟を表しているとされる。社名Umbroも「Humphreys Brothers」を縮めたもので、ロゴと社名の両方に兄弟の物語が込められている。
「MADE IN ENGLAND」表記のUmbroはなぜ評価が高い?
生産の中心がアジアへ移る前、目安として90年代前半までに作られたイギリス製の証拠だからだ。現存数が限られ、イングランド代表やクラブの公式ウェアと重なる年代でもあるため、資料的価値とファッション的な人気の両方で評価される。
ブランド名が小文字のUmbroは古いと考えていい?
一概には言えない。小文字表記は80年代までと2008年以降の両方に見られるため、菱形の角の丸みと生産国表記を合わせて確認し、どちらの時代かを切り分ける必要がある。
菱形の角の丸みだけで年代を決められる?
大まかな目安にはなるが、それだけで断定するのは避けたい。2008年以降の復刻的なロゴは90年代の尖った菱形に似せて作られているため、文字の大小と生産国表記を組み合わせて判断するのが確実だ。
日本国内向けのUmbroと海外の当時物はどう見分ける?
国内向け商品はデサント社のライセンス品が中心で、タグにデサントの社名や日本サイズが記載されている。海外仕様の当時物には英語のみのサイズ表記と海外の生産国が入るため、タグの言語と社名で区別できる。
まとめ:Umbroのタグは「菱形・文字・生産国」の3系統で読む

Umbroのタグから年代を読み解くには、ロゴの菱形の数、ブランド名の大文字・小文字、菱形の角の形、「MADE IN ENGLAND」表記、タグの素材と表示形式という5つのポイントを、この順番で組み合わせて確認していく。3系統に整理すると「菱形の形」「文字の表記」「生産国」であり、どれか1つだけで断定しないことが失敗を避けるいちばんの近道だ。
1924年の創業からイングランド代表とともに歩み、ナイキ、アイコニックスと経営が移り変わってきたブランドだからこそ、タグにはサッカーウェアの歴史がそのまま刻まれている。手元の一着がどの時代のピッチを見てきたのかを、タグを手がかりに紐解いてみてほしい。